ランサムウェアの検知とは

Kurt Baker - 11月 7, 2023

ランサムウェアは、被害者がサイバー犯罪者に高額な身代金を支払うまで、ファイルへのアクセスをブロックしたり、ファイルを暗号化したりするマルウェアの一種です。被害者が支払わない場合、犯罪者はデータを流出させたり、ファイルアクセスをブロックし続けたりする可能性があります。クラウドストライクのグローバルセキュリティ意識調査によると、デジタル資産を取り戻すために最大600万米ドルの要求を受ける可能性があり、ランサムウェアは企業にとって悪夢となっています。

被害を発生させるまで身を潜めている悪意のあるコードからの防御方法とは?

ランサムウェアを早期に検知し、迅速で効果的な対応計画を実施することで、機密データを攻撃から保護できます。

ランサムウェアの検知の定義

ランサムウェアの検知は、危険なマルウェアに対する最初の防御策です。ランサムウェアは、ファイルがブロックまたは暗号化されるまで感染したコンピューターに身を潜めています。被害者が身代金の要求を受け取るまでマルウェアを検知できないことがよくあります。ランサムウェアの検知によって感染が早期に見つかるため、被害者は回復不可能な損害を防ぐ措置を講じることができます。

仕組み

ランサムウェア攻撃では、対応する速度が重要になります。ランサムウェアの検知は、通常とは異なるアクティビティを特定し、ユーザーに自動的に警告することで機能します。ユーザーは、アラートを受信すると、貴重なファイルや機密ファイルが暗号化される前に、すぐにウイルスの拡散を阻止できます。ユーザーは、コンピューターをネットワークから隔離し、ランサムウェアを削除してから、安全なバックアップからコンピューターを復元する必要があります。

システムを回復するために、信頼性の低い暗号化解除キーを待つ必要はありません。迅速なアクションと健全なバックアップスケジュールがあれば、ファイルが失われることはありません。

ランサムウェア検知の例

多くのサイバーセキュリティシステムは、異常なファイルやアクティビティがないか実行中のシステムを監視して、ランサムウェアの感染を防いでいます。

別のタイプのランサムウェア検知は、監視カメラ以上の機能を果たします。例えば、脅威検知サービスでは、アクティブな脅威ハンティングを管理するサイバーセキュリティ専門家のチームを利用する場合があります。アナリストたちは、自動システムが検知できない可能性のある異常なアクションや悪意のあるアクションがないか、ネットワークを継続的に検索します。

ランサムウェアの早期検知および対応の利点

サイバー攻撃は、誰もが受ける可能性があります。ランサムウェアの攻撃者は、最大の利益を得るために、あらゆる規模の企業や個人を標的にします。攻撃の試みでは、脆弱なセキュリティシステムや、古いセキュリティシステムを持つ企業を標的にする傾向がありますが、多くのランサムウェアの亜種はこのような区別をしません。侵入できるあらゆるシステムが標的になります。

ランサムウェアの早期検知が誰にとっても有益なことは明らかですが、サイバーセキュリティの恩恵を最も受けるのは、おそらく中小企業でしょう。大企業はランサムウェアインシデントから迅速に回復することができますが、リソースが少ない小規模企業は、データの侵害によって壊滅的な被害を受ける可能性があります。

回避可能な損失

ほとんどの人が考えるランサムウェア攻撃の最大の損失は金銭です。要求は数百万ドルにもなることがあります。実際、クラウドストライクの2024年版グローバル脅威レポートによると、2021年に身代金の支払いが63%増加しています。破損したシステムの交換にも費用と貴重な時間がかかります。

ランサムウェアの検知は、データの損失を防ぐ助けとなります。多くの攻撃では、被害者が元のファイルを取り戻すことはありません。最近のバックアップがないと、データは永久に失われます。ウイルスに対する保護戦略の1つであるエンドポイント検知は、攻撃者の初期アクセスの瞬間にマルウェアを阻止できます。このデータ保護を実施することで、機密データの安全性を高めることができます。

ランサムウェアの早期検知への投資を検討している場合は、コスト計算に、保護がない場合に失うことになるものを含める必要があります。巧妙なマルウェア攻撃を受けた後では、復旧する余裕がない場合もあります。

ランサムウェア検知の種類とその手法

攻撃をいち早く検知できれば、それだけデータの安全性が高まります。ランサムウェアを検知する主な方法は、シグネチャ、振る舞い、異常なトラフィックの3つです。

シグネチャによる検知

マルウェアには、ドメイン名、IPアドレス、そのマルウェアを識別するその他のインジケータなどの情報で構成される、一意のシグネチャがあります。シグネチャベースの検知では、このようなシグネチャのライブラリを使用して、マシンで実行されているアクティブなファイルと比較します。これはマルウェアを検知する最も基本的な方法ですが、常に有効であるとは限りません。

ランサムウェア攻撃者は、攻撃ごとに新しいシグネチャを持つ新しいバージョンのマルウェアを作成できます。シグネチャベースのマルウェア検知では、認識できないものは特定できません。このため、システムは新しいマルウェアの亜種に対して脆弱になります。

振る舞いによる検知

ランサムウェアには、通常とは異なる振る舞いが見られます。ランサムウェアは、多くのファイルを開き、暗号化されたバージョンに置き換えます。振る舞いベースのランサムウェア検知は、このような異常なアクティビティを監視して、ユーザーに警告することができます。この検知方法は、他の一般的なサイバー攻撃からユーザーを保護する助けにもなります。

異常なトラフィックによる検知

異常なトラフィックの検知は、振る舞いベースの検知の拡張ですが、ネットワークレベルで機能します。巧妙なランサムウェア攻撃には、多くの場合、身代金のためにデータを暗号化するだけでなく、暗号化する前にデータを盗んでさらに利用するという2つの側面があります。そのため、大量のデータが外部システムに転送されます。

ランサムウェアはその痕跡と転送を隠すことができますが、それによって追跡可能なネットワークトラフィックが生成される可能性があります。異常なトラフィックの検知では、マシン上のランサムウェアにまで遡ることができるため、ユーザーがランサムウェアを削除できます。

ランサムウェア攻撃に対応する方法

ランサムウェア攻撃に対する防御手段がない訳ではありません。早期検知で攻撃の可能性が警告された場合は、すぐにアクションを起こすことでデータを保護できます。

データの保護のために最初に実行すべきステップは、定期的にバックアップすることです。ランサムウェアは拡散してネットワーク全体が感染する可能性があります。機密データはメインシステムとは別にバックアップしておき、サイバー攻撃でアクセスできなくなった場合でも迅速に復元できるようにします。

感染を検知したときに取るべきステップは、感染したコンピューターを隔離して、感染が広がらないようにすることです。次に身代金を要求するメッセージを使用して、当該のランサムウェアのタイプを特定し、当局に報告します。その後、バックアップを復元し、次の攻撃に対する防御を計画します。

また、常に攻撃に備えておく必要もあります。定期的な侵入テストを受けることで、セキュリティが適切であることを確認できます。これらのテストでは、被害が発生する前にセキュリティホールを見つけることができます。

ランサムウェア攻撃の報告方法

サイバー攻撃が発生した場合、クライアントと従業員が危険にさらされる可能性があります。ランサムウェアが会社のデータを侵害した場合、当局への報告が必要になる場合があります。データ侵害に関する法律は国レベルでは存在しませんが、次に取るべき行動を示す州の規制があります。ほとんどの州では、影響を受けるすべての個人に、その侵害を通知する必要があります。

また、インシデントを連邦法執行機関に報告する必要があります。連邦法執行機関には犯罪者を追跡し、将来の攻撃を防ぐことを可能にするリソースがあります。通常、FBIに報告する必要がありますが、他の機関も報告を受け付けます。

攻撃者への支払い

FBIは、ランサムウェアの被害者が身代金を支払わないことを推奨しています。身代金を支払っても、被害者はファイルを復元する保証がなく、犯罪者がより多くの被害者を標的にすることを奨励することになります。

実際、さらに支払うことになる可能性もあります。クラウドストライクの調査では、身代金を支払った被害者の96%が恐喝に対して追加の支払いをしていることがわかりました。しかも、犯罪者がダークウェブで情報を共有した場合、他の攻撃の標的になる可能性があります。また、米国の財務省外国アセット管理局から、特定のランサムウェア攻撃者に支払いをしたことで罰金を科される可能性もあります。

ランサムウェアの危険性

ランサムウェアはサイバー犯罪者にとって最も儲かる戦術の1つであるため、その脅威が拡大し続けています。

ランサムウェアの危険性は、企業の損失にとどまりません。クラウドストライクの脅威レポートによると、2021年にランサムウェア関連のデータ漏洩が82%増加しています。金銭的損失に加えて、標的となった企業はデータとクライアントの信用を永久に失うかもしれません。

ランサムウェアの検知によるデータの安全性の確保

ランサムウェアは、企業に毎年数10億ドルの損害をもたらしている脅威ですが、増大する危険から身を守るために講じることができる対策があります。早期に検知する手段を採用し、計画を立てることで、サイバー犯罪者を機密ファイルから遠ざけることができます。

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ランサムウェアからの保護計画にCrowdStrike Falcon®プラットフォームを取り入れることができます。これはAIを利用した振る舞いベースの検知システムで、ファイルがブロックされる前に暗号化を停止できます。セキュリティリスクを特定して対応できるランサムウェアの検知で、脅威の先を行きます。Falconプラットフォームの詳細については、こちらをご覧ください

GET TO KNOW THE AUTHOR

カート・ベーカー(Kurt Baker)は、クラウドストライクのFalcon Intelligenceの製品マーケティング担当シニアディレクターです。同氏は、新興ソフトウェア企業を専門とする上級管理職で25年以上の経験があります。サイバー脅威インテリジェンス、セキュリティ分析、セキュリティ管理、高度な脅威保護に関する専門知識があります。クラウドストライクに入社する前は、Tripwireで技術的な役割を果たし、エンタープライズセキュリティソリューションからモバイルデバイスに至るまでの市場でスタートアップを共同設立したことがあります。ワシントン大学で文学士号を取得し、現在はマサチューセッツ州ボストンで活動しています。