SecOpsとは

Bart Lenaerts-Bergmans - 10月 6, 2023

サイバー攻撃の頻度、重大性、認知度が高まり続ける中、侵害から保護し、セキュリティリスクを軽減するためのセキュリティ運用(SecOps)チームの必要性は、これまで以上に重要になっています。現代の環境において、組織はますます巧妙化する攻撃者に直面しています。事後対応型の態勢では不十分です。セキュリティを維持するためには、事前対応の態勢が必要です。

この記事では、SecOpsの世界を深く掘り下げ、その重要性について検討し、2023年以後の効果的なSecOpsチームと文化のあり方とは何かを説明します。

SecOpsの背景

SecOpsは、セキュリティ部門とIT部門の両方のプロセス、ツール、高度なスキルを持つスタッフを1つの統合チームにまとめるアプローチです。このチームの主な焦点は、リスクを監視して評価し、セキュリティの脅威やインシデントに対する事前対応と事後対応の両方を管理することです。これらの従来は別々だった部門間のコミュニケーションとコラボレーションを合理化することで、組織はデジタル資産とインフラストラクチャをより効果的に保護できます。

SecOpsチームは、セキュリティオペレーションセンター(SOC)から運用できます。これは専用の物理的な場所でも、リモートにセットアップされた場所でもかまいません。この場所が、セキュリティの取り組みを調整するための一元化されたハブとなり、リアルタイムの監視と、発生した潜在的な脅威や問題への迅速な対応が可能になります。

SecOpsの主な責任

SecOpsチームが通常担っている主な責任には、次のようなものがあります。

コンプライアンス

組織がGDPR、HIPAA、PCI DSSなどの業界標準や規制にしっかり従っているかどうかを確認することは、SecOpsチームの重要な責任です。これらのフレームワークへのコンプライアンスは、機密データの保護への取り組みを示すだけでなく、コンプライアンス違反に関連する法的および金銭的ペナルティのリスクを軽減するのにも役立ちます。

モニタリング

侵入、疑わしいアクティビティ、または潜在的な脆弱性の兆候がないか、組織のネットワークとシステムを常に監視することは、SecOpsの責任の重要な側面です。チームは、多くの場合、この取り組みを支援するためにサードパーティのソリューションを採用します。これらには、侵入検知および防止システム(IDPS)、エンドポイント検知および対応(EDR)ツール、およびセキュリティ情報およびイベント管理(SIEM)システムが含まれます。

セキュリティトレーニング

セキュリティの重要性について従業員を教育することは、包括的なSecOps戦略の重要な側面です。これには、潜在的な脅威を特定して報告するために必要なトレーニングとリソースをチームに提供すること、および組織内でセキュリティを意識した文化を育成することが含まれます。

従業員は通常、セキュリティイベントに対する最初の防衛線としての役割を果たします。特にフィッシングスピアフィッシングなどのソーシャルエンジニアリング攻撃に関してはそうです。実際の例や、模擬フィッシング演習などのシミュレーションを含む定期的なセキュリティ意識向上トレーニングは、従業員が直面するリスクと組織のセキュリティを維持する上での自分の役割をよりよく理解するのに役立ちます。

インシデント対応

セキュリティ侵害や攻撃が発生した場合の対応方法に関する計画を定めておき、実施することは、非常に重要です。このプランは、通常インシデント対応(IR)プランと呼ばれます。被害を封じ込め、脅威を排除し、インシデントから回復するための明確に定義された手順を含める必要があります。十分に準備されたIR計画を立てておくと、セキュリティインシデントの影響を最小限に抑えるだけでなく、組織が通常の運用をより迅速かつ効率的に再開する上でも役立ちます。

包括的なIR計画では、主要なチームメンバーの役割と責任の概要を説明し、社内外の利害関係者との対話プロトコルを確立し、さまざまな種類のイベントの発生時に従うべき具体的な手順を詳述している必要があります。さらに、計画には、侵害の根本原因を特定し、対応の有効性を評価し、将来の発生を防ぐために必要な改善を実施する上で必要な、インシデント後の徹底的な分析を行うためのガイドラインを組み込むべきです。

SecOpsチームには、新しいインフラストラクチャや新しい脅威に適応しながら、組織のIR計画を設計、実装し、継続的に更新するという責任がかかっています。

フォレンジック/事後分析

事後にセキュリティインシデントを分析することは、SecOpsの重要な責任です。何が起こったのか、どのように起こったのか、そして将来同様の発生を防ぐために何ができるかを組織が理解するのに役立つからです。

インシデント後のこのような分析は、通常、事後分析または事後レビューと呼ばれています。イベントを包括的に理解するためのデジタルフォレンジック、ログ分析、根本原因の特定などが含まれます。

SecOpsが重要な理由

現代のソフトウェア開発は、かつてないほど速いペースで行われています。アプリケーションはクラウドを第一の配備先として構築され、脅威の状況は広範で動的なものとなっています。従来のセキュリティツールとプロセスはもはや効果的ではありません。セキュリティチームは、デジタル資産を適切に保護するため、運用上のノウハウとアクションを最新のツールと組み合わせる必要があります。

以下では、効果的なSecOps戦略が今日の環境で重要である3つの理由について説明します。

セキュリティ脅威の数や種類の増加とその高度化

攻撃者は、悪用のための新しい戦術、手法、手順(TTP)を考え出し、システムやネットワークの脆弱性を悪用するのに役立つ、非常に強力でコモディティ化された豊富なリソースにアクセスできるようになっています。

そのため、組織が対処しなければならないセキュリティ脅威の数、種類、複雑さは大幅に増加しています。これらの進化するリスクの前を行くため、専任のSecOpsチームを持つことが不可欠になっています。

レガシー環境から分散/クラウド環境への移行

ネットワークの境界が明確に定義されていた従来のIT環境は、より分散したクラウドベースのインフラストラクチャに取って代わられました。この変化により、ネットワークの境界は、完全に消えてしまっていないとしても、より曖昧なものとなっており、多くのリソースがデフォルトでは公にアクセスできるようになっています。

その結果、組織ではこれらのより複雑な新しい環境を保護するためにセキュリティ戦略を適応させる必要が生じています。SecOpsチームはこの適応プロセスで重要な役割を果たします。

顕著な侵害とビジネス継続性に対するその影響

データ侵害やサイバー攻撃のニュースはインターネット上で急速に伝わるため、組織がそのようなインシデントを防止し、軽減するための堅牢なセキュリティ体制を持つことは不可欠です。攻撃が成功した場合の間接的な影響が巨大なものとなり、直接的な被害を超えて広範囲にわたる結果をもたらす可能性があります。

顧客データの侵害または流出は、組織の評判を損なうだけでなく、潜在的な法的責任、規制上の罰則、および顧客の信頼の喪失にもつながります。

最新のSecOps戦略の要件

サイバーセキュリティの状況の進化につれて、組織が脅威の先を行くために採用するSecOpsイニシアチブも、進化してゆく必要があります。最新のSecOps戦略を成功させるには、多面的なアプローチを取ることになるでしょう。最新のツールや専門スタッフを採用し、セキュリティに関して迅速に対応する運用体制の文化を含んだものです。

スタッフの専門知識

SecOpsチームには、インシデント対応、脆弱性評価、アーキテクチャなどの専門知識を含む、多様なセキュリティスキルセットが必要です。加えて、チームが最新のクラウド優先環境で快適に作業できることと、急速な技術変化に適応できることも必要です。

組織全体による賛同

DevOpsと同様に、SecOpsはコラボレーションを土台として構築されるものです。成功を収めるため、SecOpsチームは、開発者、利害関係者、および組織内の他の主要なプレーヤーと緊密に連携する必要があります。このレベルの協力を達成することは、トップダウンのサポートなしでは困難です。組織全体でSecOpsの重要性を認識し、優先させることが重要です。

最新ツールの活用

従来のセキュリティツールは、ネットワーク境界が明確に定義されていて、アセットマップがそれほど動的ではなかった、今日とは大きく異なる脅威の状況に対処するように設計されたものです。最新の脅威の先を行くため、SecOpsチームは、今日の分散型で、クラウドベースとなっている環境の複雑さに対処するのに適した最先端のツールを活用しなければなりません。

単一ソリューションのセキュリティ管理

激しい攻撃の最中では、1秒たりとも無駄にはできません。SecOpsのスタッフが、関連するセキュリティやイベントデータを、まったく異なる複数のツールやダッシュボードに由来しているために手作業で結びつけなければならないとしたら、問題の識別、隔離、解決のために使えたはずの貴重な時間が無駄になってしまいます。環境全体を可視化する、信頼できる単一の情報源を共有可能な方法で実装することで、SecOpsプロセスを大幅に合理化し、応答時間を短縮できます。

これらの重要な要素に対処することで、組織は、今日のサイバーセキュリティ環境の課題に対処するための設備が整っているだけでなく、絶えず変化する将来の脅威やテクノロジーに適応するための準備が整った最新のSecOpsイニシアチブを構築できます。

未来を守る:SecOpsの重要性

サイバー攻撃の頻度、重大性、認知度の急速な高まりにより、組織を侵害から保護し、セキュリティリスクを軽減するための、セキュリティ運用(SecOps)チームの必要性が強調されています。最新のSecOpsイニシアチブは、俊敏性や柔軟性に優れていて、進化し続ける脅威の状況に適応できる必要があります。

最新のSecOpsイニシアチブの成功は、組織全体の賛同、スタッフの専門知識、適切なプラットフォームとツールの導入に大きく依存します。これらの分野に投資し、コラボレーション文化を育むことで、組織は堅牢でプロアクティブなセキュリティポスチャを構築し、デジタル資産とインフラストラクチャをより適切に保護できます。

今日のデジタル世界を進むあらゆる組織は、セキュリティチームが現代の脅威の状況に対処する準備ができているかどうかを自問する必要があります。できていないとしたら、今こそ行動を起こし、組織の将来を保護するためにSecOps実装の開発を優先するときです。

GET TO KNOW THE AUTHOR

バートは、クラウドストライクの脅威インテリジェンスのシニアプロダクトマーケティングマネージャーであり、脅威の監視、検知、インテリジェンスにおいて20年を超える経験を持っています。ベルギーの金融機関でネットワークセキュリティ運用アナリストとしてキャリアをスタートさせた後、米国東海岸に移り、3Com/Tippingpoint、RSA Security、Symantec、McAfee、Venafi、FireEye-Mandiantなどの複数のサイバーセキュリティ企業に入社し、製品管理と製品マーケティングの両方の役割を果たしました。